外科的治療

癌と外科的療法

 

癌と抗がん剤治療

がんの治療は「手術である」と言われるほど、がんの伝統的な治療法でした。

今でも、「がん=手術」と思い込んでいる方は多いと思います。

 

手術の目的は、ある臓器にできている「がん」とその周囲の細胞を切り取ります。本来は「がん」の組織だけを上手く切り除ければいいのですが、がん細胞が周りに「浸潤」していることを考えて、普通は「がん」だけでなく、周囲の正常な部分やリンパ節も切り取ります。

 

手術をしたとしても、手術直後の時点で、がん細胞を全部切除できたかどうかは、顕微鏡で検査しても完全には分からないのが実態です。
もし、切り取った部分のほかの臓器にがん細胞が飛び散っていれば、当然再発の可能性は高まります。

 

手術のメリットはなんといっても、がん病巣をしっかりと切除できることです。がんがどこまで浸潤しているか、どのリンパ節が腫れているか、腹膜播種(胃や腸、子宮のがんが拡がること)はどうかなど、その場で確認できます。切除組織は病理医によって細かく診断されます。こういった詳細な情報を元にがんの治療計画を立てることになります。早期の胃がんなどは手術でほとんど直すことができますが、数パーセントは再発して死亡します。

 

手術のデメリット

 

デメリットなどと聞くと驚く方も多いと思いますが、手術は「数ある治療法のひとつに過ぎない」という見地からすれば「デメリット」という表現も仕方ないと言えます。

 

@手術そのものによって「死亡する」可能性
手術のデメリットとして、肺炎など術後の合併症(ある病気に伴うほかの病気)がおきないで社会復帰できれば、とりあえず手術は成功です。術直後は、出血、縫合不全などが起きることがあります。
当然ながら、高齢で体力が低下し、糖尿病や心臓病などの病気のある人ほど術後の合併症が起きやすくなります。

 

術後の体力低下によって、肺炎などの感染症もよく起こります。術後一ヶ月以内の死亡は手術と関連していると考えるべきで、がんの部位、年齢などによって違いますが、1〜3%程度はあります。もちろん、がんの専門病院とあまり手術のない病院との違いもかなりあります。

 

こうした感染症など意外にも「医療事故」等も当然あります。

 

統計的には手術によって1〜3%の確率で「死亡」するのです。
「手術を受ける」ことは命がけである・・・という表現は言い過ぎではないと思います。

 

A術後の後遺症
大きく部位を切り取れば、当然元の生活には戻れません。
術後の後遺症は、がんの種類や進行速度、手術の方式によって違ってきます。臓器が小さくなって機能が落ちたり、がんの周りの正常な細胞も傷つけるので、当然ながら色々な後遺症が出ます。

 

乳がんや膀胱がん、子宮がんなどで脇の下や骨盤内のリンパ節を切除した場合、手足がパンパンに張って、ひどい象の足のようなむくみ(リンパ浮腫)になることもあります。

 

胃がんなど胃を切除・摘出するのですから、当然小食となり、5〜10キロほどの体重低下。嘔吐や動悸。頭痛、冷や汗などのダンピング症候群(食べ物が胃にたまらないので小腸に墜落することで起こる症状)が起こります。

 

大腸がんの手術では排便障害、下痢、肺がん手術後の呼吸機能低下など、手術した臓器によっていろいろな後遺症が出てきます。脳腫瘍なら、知能障害や運動障害が出るかもしれません。
乳がんや子宮がんの手術の場合は、特に全摘で女性の心理面に多大な影響があります。

 

 

拡大手術から縮小手術へ

今だに癌治療の主流であり、歴史的には、拡大手術(出来るだけ広い範囲を切除し、再発を防止する手術)が行われてきましたが、拡大手術は患者への負担が大きく、最近は縮小手術(より切除部位を狭く)が行われています。

 

わが国では不思議なことに、欧米では既に実施されなくなりつつあるリンパ節郭清が盛んに行われています。

 

リンパ節郭清手術とは
伝統的ながん手術のひとつで、臓器を摘出する際に、がんの周囲のリンパ節を郭清(ていねいに切除)します。がん細胞が含まれているかもしれないためです。

 

以前は、リンパ節を放置することががん再発につながると考えられてきました。しかし、これが生存率を高めているという臨床試験は殆どありません。QOL(生活の質)の点からも、疑問が投げかけられています。
たとえば、乳がんで腋窩リンパ節を郭清すると、郭清すればするほど「リンパ浮腫」といって腕が晴れたり、しびれが出たりします。

 

「がん」と外科的治療

 

細かい血管や神経を切断するため、出血、術後の感染、敗血症、死亡率を高めます。上肢や下肢にリンパ浮腫を起こすこともあります。

 

欧米では リンパ郭清手術は基本的に行われていません。

 

体腔鏡手術

胸腔鏡、腹腔鏡などで、体表面に数個穴を開けて、体腔をCO2で膨らませて、画像をモニターしながら手術します。

 

患者さんの体に負担の少ない手術で、肺がん、腎臓がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん、乳がんなどで行われています。
体の切開部分が少ない分、痛みが少なく、術後の回復が早くなります。
しかし、手術視野が狭く、手術時間が長いなどのリスクもあります。二次元のモニターの画像を実ながら行う手技なので、よく訓練された経験の深い医師から手術を受けないと普通の手術よりむしろ危険があります。

 

【群馬大学病院】腹腔鏡手術後8人死亡〜肝臓がん切除手術との因果関係

 

「がん」と外科的治療

「がん」と外科的治療

群馬大学病院(前橋市)で、腹腔鏡ふくくうきょうを使う肝臓手術を受けた患者8人が死亡した問題を受け、日本肝胆膵かんたんすい外科学会が23日に発表した腹腔鏡手術の実態調査結果で、胆管切除を伴う保険適用外の肝臓手術は死亡率が10%近くに上ることがわかった。

 

群馬大病院ではこの手術で3人が死亡しており、同学会は腹腔鏡手術の適応を慎重に検討するように注意喚起を行う方針だ。

 

調査は昨年11月〜今年1月、一定の手術実績があると同学会が認めた「修練施設」212病院を対象に、肝臓、胆道、膵臓の腹腔鏡手術の実施状況を尋ね、207病院から回答を得た。

 

それによると、2011〜14年に、肝臓の腹腔鏡手術は計8545人に行われ、このうち1587人が高難度とされる保険適用外だった。保険適用外手術の死亡率(術後3か月以内の死亡)は1・45%。手術方法別で見ると、胆管切除を伴う肝臓手術の死亡率が9・76%と突出して高かった。

 

多数の肝臓手術を行っているがん研有明病院(東京都江東区)の斎浦明夫・肝胆膵担当部長は「胆管切除を伴う肝臓手術は、一般的な肝臓がんの手術より格段に難しい。がんを取り切り、再発をさせないように腹腔鏡手術でできるか確認されておらず、患者に対しリスクなどを正しく説明されたか疑問がある」と話す。

 

また保険適用外の高難度手術を行うに当たり、無回答を除く176診療科のうち97診療科(55%)は院内の倫理委員会で審査を受けていなかった。同学会は今後、必要となる倫理審査の申請について会員の医師に徹底を呼びかけていく予定だ。

 

(2015年3月24日 読売新聞)

 

 

 

内視鏡手術

消化管内視鏡で癌を切除する方法で、食道癌、胃癌、大腸癌などに用いられます。

 

「がん」と外科的治療

 

代表的なやり方がポリープ切除術で、大腸や胃などのポリープの根本を、内視鏡の先端から出す金属性の輪で締め付け、高周波電流で焼き切る方法です。
これは日常診療で普通に行われいますが、良性のポリープと見られても、ポリープの先端に極初期のがんができていることもあり、この手技によって完治が見込まれます。

 

胃ポリープの癌化はめったにありませんが、大腸ポリープは癌化し易い傾向にあります。

 

内視鏡的粘膜切除術(EMR)
腫瘍の根本に生理食塩水を打ち、まだ小さな腫瘍を盛り上がらせて、内視鏡の先から出したワイヤーに高周波を通電し、切除する方法。

 

内視鏡的粘膜剥離術(ESD)
腫瘍をITナイフと呼ばれるメスでえぐり取る方法です。浅ければ10センチ程度まで可能です。
体力の落ちている人、切腹を望まない人、高齢者などが適応だが、そうでない人もQOLをほとんど低下させない点から、今後増えていくと予想されます。
ただし技術が難しいので、経験豊富な医師を見つけて相談することが重要です。

 



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